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クリエイティブな発想

こんにちは、執行役員DEO(Design Executive Officer)兼デザイン統括本部(Design Executive Center) 統括本部長のKim Sunkwanです。

デザイナーは、さまざまな分野で視覚的、機能的、体験的な要素を創造し、改善する職業であり主な役割は、問題を解決し、ユーザーエクスペリエンスを向上させるデザインを作成することです。
では、そうしたクリエイティブなアイデアはどのように生まれるのでしょうか?


デザインのプロセス

まず、周囲の環境を観察し、研究します。
ブレーンストーミングで自由にアイデアを発散し、さまざまな参考資料などからインスピレーションを得ます。
次に、プロトタイプを制作して視覚化し、同僚やユーザーからのフィードバックを受け、それを発展させます。
実験と反復を通じてさまざまなアプローチを試すことも重要です。
このすべての過程を通じて、デザイナーは創造的で効果的なデザインを生み出すことができます。

以前、私がGoogleで 働いていた頃、とあるサービスをデザインしていた際に、皆さんもおそらくご存じの世界的に有名な建築家がデザインしたキャビネットやロッキングチェアなどの「家具」からインスピレーションを得て、そのサービスのさまざまな機能やUIデザインを組んだことがありました。
家具が持つ機能やビジュアル要素、佇まいなどを再解釈しデジタルサービスのデザインへ落とし込んだわけです。

もう一つ事例をご紹介します。LINEヤフーのロゴ開発についてです。
このプロジェクトの最大のミッションは、LINEとヤフー両社のビジョンを込めたデザインを構築することでした。
新しさを追求しすぎるデザインではなく、基本に忠実なデザインストーリーを構築することに重点を置きました。
デザインの方向性は、「Stay Closer, Go Further」。両社の結束によってイノベーションを生み出しながら、ユーザーに寄り添い続けるという意味合いで設定しました。
本質的な部分でストーリーを展開し、LINEロゴの丸みを帯びたボールドタイポグラフィと「Y!」の少し斜めの角度を活用しました。

この斜めの角度を62度にしたのですが、これは31度の2倍の数字です。
31度でピンときた方はいらっしゃるでしょうか。これは陸上競技の「やり投」において、最も遠くまで飛ばせる角度です(※諸説あり)。このやり投の角度からインスピレーションを得て、それを元に両社の結合という意味で2倍の62度を革新的なエッジポイントとして実装しました。やり投の投射角度を用いることで、両社の新たな飛躍を象徴しています。
このような形で、デザインストーリーは意味を持ち、さらにそれは再解釈する力を持つことになるのです。

SCAMPER技法

最後に、私がよく使うSCAMPER技法についてお伝えしたいと思います。SCAMPER技法は、1971年にアメリカの教育学者ボブ・エバール(Bob Eberle)が考案したアイデア促進質問法で、アレックス・ファイクニー・オズボーン(Alex Faickney Osborn)のチェックリスト技法を発展させたものです。既存のものに対して「代替、結合、適応、修正・拡大・縮小、用途転換、削除、逆転」などの7つの質問を通じて、新しいアイデアを生み出すことに役立ちます。

1.代替 (Substitute)

人、材料、方法、物、エネルギーなど、従来使用していたものを別のものに置き換えることです。例えば、スターバックスはストローを紙で作ることでサステナブルを実現しました。BMWのコンセプトカー「Gina」は、外装を特殊な布で作り、有機的で可変的な「生きている」自動車を生み出しました。

2.結合 (Combine)

素材、色、目的、機能などの固有の特性を組み合わせて、相乗効果を発揮できる新しい特性を作り出すことです。例えば、フォークとスプーンを組み合わせた「フォークスプーン」、タブレットにキーボードを組み合わせて使用できるサーフェスブック(Surface Book)、スマートフォンを画面に接続してPCのように使用できるデックス(DeX)システムが良い例です。

3.適応 (Adapt)

既存のものを他の目的や条件に合わせて応用したり、調整して模倣することです。例えば、Appleのチーフデザイナーだったジョナサン・アイブは、ディーター・ラムズの製品をヒントにiPodとiMacをデザインしました。また、深澤直人は、CDが回転する様子を換気扇に例えて、換気扇型のCDプレーヤーを発売し、大きな人気を博しました。このような応用は、シンプルでありながら斬新な方向性を提示します。

4.修正・拡大・縮小 (Modify, Magnify, Minify)

既存の形の概念を修正、拡大、縮小して新しいアイデアを発見する方法です。例えば、iMacを縮小させたのがMac Miniであり、さまざまなツールを縮小させたのがMacGyverCalです。サイズの変化だけで新しい製品が生まれることがあります。

5.用途転換 (Put to other use)

例えば、ベーキングパウダーは本来はパンを作るときに使う添加物ですが、掃除にも使うことができます。

6.削除 (Eliminate)

例えば、10年前の携帯電話は外部に受信アンテナがありましたが、最近の携帯電話はハウジングを金属製にして内蔵アンテナにすることで外部アンテナがなくなりました。ワイヤレスマウスやキーボードもBluetoothを使用することで、配線がなくすっきり使うことができます。

7.逆転(Rearrange)

構造と役割の位置を逆にしたり、再配置して別の角度から解釈することです。例えば、ダイソンは扇風機のファンを本体に統合して、羽根のないユニークな扇風機を作りました。また、ダストバッグをなくした掃除機を開発し、新しい方式の掃除機を発表しました。

良いアイデアが生まれるまでは苦しい時間が続くと思います。
これをお読みいただいたデザイナーの皆さんが、これら7つの方法を活用してさまざまなアイデアを試し、創造的なソリューションと革新的なデザインを継続的に研究するデザイナーになることを願っています。


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