ブランドデザインの多様性を再認識した「brand design hub」
こんにちは。BX室ブランドデザイン2チームの佐竹と申します。このnoteで記事を書かせていただくのは3回目、社内のことは他のスタッフがたくさん書いていますので、今回は、先日参加させていただいたこちらのイベント「brand design hub」のレポートを書こうと思います。
タイトルの通り、僕たちBX室にとって為になることがたくさんありそうなイベントです。会場は、渋谷区にあるアベマタワー。うーん立派なビルです。エントランスではDJがお出迎えです。(すごい!!)
入り口で圧倒されていた私たちですが、スタッフの方が優しく会場まで案内してくださいました。
会場にはすでにたくさんの人が来られており、総勢200名以上参加されたそうです。ブランドデザインという言葉に興味を持つ人がたくさん居るんだなぁ・・・
と思うと、日々のお仕事にもより気合を入れなければと思った瞬間でしたね。
1.クリエイティブの作り方とブランドらしさ
入って間も無く、イベントがスタートしました。司会進行は株式会社DONGURIの早川将司さん。
軽快なトークで司会を進めておられます。前職はウェディング関係のお仕事をされていたそう。(すごい経歴!)まずはこの方々のトークセッションから始まりました。
山口 崇多さん( フリーランス アートディレクター / グラフィックデザイナー)
松本 隆応さん( コイニー株式会社 / ヘイ株式会社 リードデザイナー)
片山 翔平さん(株式会社資生堂 クリエイティブ本部 アートディレクター /グラフィックデザイナー)
漆原 裕貴さん( 株式会社マッチングエージェント チーフデザイナー)
それぞれ、お互いのお仕事を紹介しながらブランドデザインについてお話を深めていきます。みなさん、お仕事の例を紹介しながら、アイデア出しやコンセプトメイクのプロセスを紹介してくださいました。
山口氏:
僕の場合はクライアントからのヒアリングからはじまりますね。
そのあと、クライアントからのキーワードと、デザイナー的な視点をざっくり組み合わせて考えます。
このKITEN(起点)という会社は、震災のあった福島でオーガニックコットンを製造販売している会社です。
これは、起点という言葉をもっと第三者につたわりやすく・・・と思って出したビジュアルのキーワードです。川だったり楔だったり・・・という。
早川氏:
製作工程を見ているようですね!
山口氏:
そうですね。
描いてて、これ川にも山にも見えるなって思ったんですよ。この自然から出たビジュアルと、循環させるようなストーリーが組み合わさった。いくつか案あったけど、これが一番刺さりましたね。表面的な形だけよりも、ブランドの真意や核をデザイナーがピックアップし、第三者に伝えるようにと考えています。
早川氏:
生み出すというより見つけるに近い作業ですね!
松本氏:
僕の場合は、価値の作り方というよりも、使っている人が作っていくような感覚があります。
このロゴTを着て喜んでくれてるひとがいたり、プレゼントにつかわれたり。会社のロゴTって、ほとんど寝巻きになっちゃうのに、みんな使ってくれてる。これは、見た目よりも、事業のストーリーに共感してもらえていることが重要だと思う。
早川氏:
自発的になんですか?仕掛けたのではなくて?
松本氏:
全く意図していなかったです、僕は中央政権的にコントロールしたい派だったのですが(笑)
案は、数十くらいだしましたね。たくさん作っているうちに、コンセプトがついてきたような感覚です。
早川氏:
造形よりもコンセプトが重要ということですかね?
松本氏:
相手の気づかないところも、気づかせてあげるような・・・
CI作りは仕立て屋のような感覚がちかいかもしれませんね。 ちょっとずつ調整していって、会話を重ねて、しっくりくるような。CIは経営者の意識が色濃く出ますので。
早川氏:
一緒に作っていくような感覚なんですね。
片山氏:
僕は、グローバル資生堂ブランドの商品を担当していて、 女性のトレンドを常にどう表現するかを考えています。今のお客様に刺さるのか考え、プロモーションをしています。
資生堂には唐草紋様や図案など、造形の伝統があるが
今の世の中でこれがそのまま出てくると少し古く見える。
トレンドを追うために、このブランドのどう言ったところを変え、どこを残すかを常に考えていますね。
早川氏:
資生堂さんは歴史がありますもんね。お客さんの中でブランドらしさが定義されているなか、新しいものを追加していくのは苦労しているんじゃないですか?
片山氏:
そうですね、苦労しますね。今日も苦労してました(笑)
社員の中での資生堂らしさを、どうビジュアルで表現するかの探求を意外と泥臭く、千本ノックのようにやっていますね。
これは資生堂らしいよね、逆にこの写真表現は今までなかったよね、とか。
早川氏:
言葉よりもイメージ先行ですかね?
片山氏:
チームにもよりますけどね。でも女の子の気持ちになって、自分の行動を書き出してみたりもしますよ。
早川氏:
結構行ったり来たりする感じなんですね。
片山氏:
まずは個人で育てたものをチームで持ち寄って、そこからビジュアルを千本ノックして育てていくような感じです。
早川氏:
歴史や規模を考えた上で、どう広めていくというのは(前の2者とは)全然違う感じですね!
漆原氏:
僕たちの作っているサービスはタップルというマッチングアプリなんですけど、
この市場は、最近急激に成長している傾向にあります。 なので、経営状況や事業フェーズに合わせて変えていくことが重要だと思っています。
結構、リリース時に気合が入ってデザイン凝りすぎちゃうことがあるんですよね。
でもこれ、逆にデメリットない?っていう点も気にしています。
もしそれが後に不必要になったとき、手放しづらくなってしまうこともあるので。
KPIドリブンなサービスの中で、クリエイティブってどう動けるのか新機能の比較、数値設計も自分でやっているのですが、自分の職域を意識しすぎず、ビジネス目線だけで動かなかったことにクリエイティブを合わせることで、事業成長に結び助けています。
ちなみに、マッチングアプリの広告って、なんかエロくない?って思うことありませんか?これは、マッチングアプリは広告できる場所に限りがあったりと要因はたくさんあるのですが、今までのこのダイレクト広告での獲得は、成長が鈍化してきていたんです。なので、このダイレクト広告のイメージを変えようと動きました。
こういった広告って、課金に通じたのかどうかなどすべて調査できるので、コンスタントに試せた。好感度が低いものほど、利用意向が高い傾向がありました。これを、好感度も高く利用意向が高くなるようなイメージ作りをすすめました。
早川氏:
打ち出し方に対するブランド体験のルールって決めているんですか?
漆原氏:
あまりガチガチには決めていないですね。むしろ変化できるようにしているというか。ただ、数字で出てくるものをすべて反映して変えてしまうのではなく、イメージなど、守るものもあるので、そう言ったときはクリエイティブを合わせて見せてあげるといった感じです。
片山氏:
女性の表情って、ほんとにたくさんの表現がありますよね。 ぼくたちも、これは言葉にできない部分があって、ビジュアルと合わせて見せます。 こういったことは、やっぱり言葉だけでは表現できない力があると思います。
ここで最初のセッションは終了。最初から、なかなか濃い内容でした・・・!
しかし、どのお仕事の内容も社内で考えているブランディングと通じるところがありました。
2.ブランドの「目印」づくり
次は色部デザイン研究所代表の色部義昭さんです。
今まで手掛けられたお仕事を例に、そのブランドの「目印」をどうやって作ったのかを説明してくださいました。
湖の水面をモチーフにしたロゴデザイン。館内のサイン計画は、環境を生かしたユニークなデザイン。入り口のロゴの中には、たくさんの言葉が隠れているそうです。これは、湖に関わる枕詞を集めているそうです。(おしゃれーーー!)
次は、大阪メトロのシンボル・ロゴデザインについてです。
このデザインは、国内外の鉄道会社をたくさん調査して行き着いたそうです。公共で使われるデザインで、視認性や識別性を重視して作られており、なんと、大阪のOとメトロのMが合わさって出来た形だそうです。
なるほど〜!意味を知るとより一層、デザインが自分の記憶に残る気がしますね。
こういったユニークな発想の根源を知るべく、公演後に色部さんに質問をしました!
佐竹:
どのデザインも、シンプルな中にさりげなく面白いアイディアが盛り込まれていますが、このようなアイディアを生み出すきっかけや仕組みはあるのでしょうか?
色部氏:
とにかく現場にいって、その空気を感じてみる。
そうすると、自ずとアイディアが出てきますので、アイディアが出ない・・・ということは無いですね。
佐竹:
ありがとうございました・・・!(これしか言えない)
どーーーーーーーーん!!!!といった貫禄です。すげぇ。しかし、今日見たお仕事を見て思ったこと。それは、とにかくすっごいリサーチしているなぁ・・・ということ。
しかも情報がものすごく綺麗に整理されています。
こう言った土台が、素敵なデザインの生み出す道しるべを作り出して居るのかなと思いました。お客さんも、何が正解なのか、デザインのゴール設定が明確になるのかもしれませんね。
3.プロジェクト設計について
最後はTBWA\HAKUHODOの徳野佑樹さん。
「色部さんの後で、すっごい緊張するんですけど・・・」とこぼし、会場からは笑いが。アートディレクターという立場から、デザインのお話をしてくださいました。
紹介してくださったものは、どれも一度は見たことのあるクリエイティブばかり。すごい。その中でも、こちらのプロジェクトを紹介。
日本が抱える高齢化問題を捉えたプロジェクトです。なんと、ホールのスタッフはみなさん認知症を抱えていらっしゃって、約6割以上の注文を間違えてしまうお店、とのこと。
なんともおかしなお店ですが、来られたお客さんの9割以上が、またこのお店に来たいと答えたそうです。
お店のロゴやツール類は可愛らしいデザインで、なんだか、間違っても許しちゃいそうな気持ちになりました。通常、ネガティブなことをプロジェクト設計とデザインの力で変えてしまう。これも、ブランディングに必要なことだなぁと感じました。
徳野さんは、このプロジェクトのゴールは、この料理店が無くなること とおっしゃっていました。社会問題に対する、単発のイベントで終わらせないという思いが見えました。
このプロジェクトに参加してくださった方の中には、認知症を抱えながらも、この記憶だけは覚えているという方もいらっしゃるそうです。
なんだか、いい話をきいて私の心もじ〜〜んとしました。
その後もいくつかプロジェクトのご紹介があり、イベント終了となりました。懇親会もとても楽しめ、また参加してみたいと思える素敵なイベントでした!
4.まとめ
ブランドデザインと一言にしても、たくさんの捉え方があるなと再認識しましたね。
LINEの中にもいろんなサービスがありますが・・・それぞれにあったブランドの作り方を意識していきたいなと思った1日でした!
最後まで読んでいただきありがとうございました。