LINEデザイナーが好きなデザイナー
こんにちは、UIデザイン4チームの中谷です。
私たちは常日頃から「LINEらしいクリエイティブ」を心がけていますが、そんなLINEのデザイナーたちはどのようなデザイナーに憧れたのか...
気になったので、クリエイティブセンターとクリエイティブ室のメンバー(約110人)を対象にアンケートをとってみました。
結論から言えば、私たちが好きなデザイナーというのは画一的ではなく、十人十色であるということがわかりました。ほとんどが被ることなくそれぞれ違った名前を挙げたのです。
とはいえ、中でも9票ともっとも人気を集めたのは日本を代表するグラフィックデザイナーでした。
もっとも人気を集めたのは「原研哉」
デザインを志すにおいて、原研哉さんの名前を知らない方はいないでしょう。武蔵野美術大学を経て1983年に日本デザインセンターに入社した俊英は、幅広いジャンルで活躍。1998年長野五輪の開会式及び閉会式のプログラムを手がけ、2001年には無印良品のボードメンバーに。数々のデザイン賞を受賞し、近年では氏がデザインした2020年東京五輪の公式エンブレムが最終選考まで残ったことも記憶に新しいところです。
「好き」と答えたメンバーからは以下のような理由が挙げられました。
・ジャンルを問わず、シンプルで意味深いインパクトがあるデザインをしている。
・華美な要素を排除してシンプルさと余裕を求めており、長く見ても飽きない。
・必要な要素だけを残して不要な要素を除去したミニマリズムをブランドに盛り込んでいる。
・シンプルなのに目を奪う力があり、生活スタイルから美意識まで影響を受けた
要素を消して消して、結局いちばん重要な部分だけ残せるのは本当に根気と集中力が必要な作業だと思わされた。
・デザインという単語は、飾ることに集中するのではなく除外することに対する概念なのだと教えてくれた。
・徹底的に削ぎ落としたデザイン性、最低限の表現でシンプルながら洗練された表現力。
・流行に乗らないシンプルデザインなのでいつでも見ても飽きない。
さてこれ以降はメンバーたちの多様性を示すような結果となり、挙げられたデザイナーはバラバラでした。その中でも多少の重複を見せたのが以下の6名です。
ディーター・ラムス
家電メーカー「ブラウン」のインダストリアルデザイナーとして多くのデザイナーから尊敬されている巨匠です。彼の提唱する「良いデザインの十ヶ条」はデザインの原則として多大な影響を与えています。
・彼による「良いデザインの十か条」は、今の私が実際業務で守ろうとしている一番重要に思うデザインの原則です。
・私にとってヨーロッパの現代ミニマリズムといえば真っ先に思い浮かぶ人で、Appleのデザインも彼の影響を受けたそうです。
・本質に忠実なデザインをすることで、デザインの意味を最大限にしたので、私には意味のあるデザイナーだと思って尊敬しています。
「良いデザインの十ヶ条」についてはこちらをご覧ください。
吉田ユニ
新進気鋭のグラフィックデザイナー、アートディレクター。リサーチに裏付けされたポップかつインパクトのあるクリエイティブは、人気ファッションビルや数々のCDジャケットなどでもたくさん目にすることができます。
「どの作品もシンプルで自分の味がある、記憶に残る作品が多い」といった意見がメンバーから寄せられました。
佐藤可士和
言わずと知れた日本を代表するクリエイティブディレクター。ユニクロやキリンビールのブランディング、国民的アイドルグループのアートワークを多数手がけており、氏の作品は誰もが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
「コンセプトからアウトプットまで一貫して超シンプル」「シンプルでわかりやすい」といった意見がメンバーから寄せられました。
緒方慎一郎
「現代における日本の文化創造」というコンセプトのもと建築やインテリア、グラフィックなど幅広いジャンルで活躍されています。「和」の精神が反映された作品が多く、そのクリエイティブは和菓子や和食にまで一貫されているから驚きです。
「美しく機能的なデザインが特徴で、「間」の取り方や「静」と「動」のバランスに日本人ならではの侘び寂びの精神が反映されているところが好きです」「手がけた空間は和を新しく解釈した空間でとても心地よい」といった意見がメンバーから寄せられました。
ポール・ランド
清潔感や可読性を追求した「スイス・スタイル」を代表するグラフィックデザイナーであり、特にコーポレートアイデンティのジャンルにおいて偉大なる足跡を残した人物です。デザイン力と同時にその必要性を説明する能力が非常に高かったと言われいています。
「編集デザイナーとして、広告ディレクターとして、ブランドのマーケターとして、教育者としてのデザインを一段階進化させたデザイナー」という意見がメンバーから寄せられました。
水野学
クリエイティブディレクターとしてブランディングからロゴやパッケージのデザインなど、枠に捉われない多彩なジャンルで活躍されています。その作品は私たちも多く目にしていますが、やはり忘れてはならないのは「くまモン」ではないでしょうか。常に問題解決のためのデザインにブレないコンセプトを持って臨んでおられる印象です。
「出身大学の先輩でもある方で、デザインの考え方とアウトプットが素晴らしく、尊敬しています」という意見がメンバーから寄せられました。
まとめ
さて、上記した7名が複数のメンバーが推挙したデザイナーでした。逆に言うとそれ以外の何十人ものメンバーは全く異なるデザイナーが好きと答えているのです。枚挙にいとまがないので個人名は割愛させていただきますが、もっとも多かったのがグラフィックデザイナー、それにインダストリアルやインテリア、ファッションジャンルのデザイナーが続くといった傾向になります。
この結果は、クリエイティブセンター及びクリエイティブ室の特徴である多彩なバックボーンというものを反映した結果と言えるかもしれません。
一方で、UIデザインに関して言うとグラフィックデザイナーやインダストリアルデザイナーから、UIデザインのエッセンスを汲み取っているという内容も見てとれました。
この結果が必ずしも、LINEのデザイン思想や哲学を反映しているとは言えないでしょうが、他社様でこういったアンケートが実施されたらどんな結果になるんだろうなと興味深く思っています。
「○○デザイナーが好きなデザイナー」とか、皆さんどうでしょう?