知れば知るほど面白くて深いフォントの世界
外部の著名なデザイナーやクリエイターを講師として招く社内限定のセミナー「CREATIVE CENTER CLASS」。普段の業務以外のクリエイティブな分野のトピックでデザイナーたちにインスピレーションを与える成長支援プログラムです。本日は、その講演内容の一部を共有します!
4回目の開催となった今回のCLASS、登壇者はFontworks藤田重信さん。昨年リリースしたLINEの日本語コーポレートフォントLINE Seed JPの開発・制作にご参加いただいた書体デザイナーです。
フォントの面白さ奥深さを感じたシーン3選
1. 日本語コーポレートフォント、LINE Seed JPの制作秘話
国内企業ではなかなか例を見ない日本語書体制作に挑んだプロジェクト、LINE Seed JP。『LINE Seed JP』はベースとなる既存の日本語フォントが存在せず、ひらがな・カタカナ・漢字・一部の記号を一からデザインして、アルファベット・数字・その他の記号は欧文フォントを組み込みました。9,000字を超える膨大な文字を収録したフォントです。
我々はもっとシームレスで使いやすい、人間味のある温かさをユーザーへ伝えるためFontworksさんと制作を進めていきました。 LINE Seed JPの特徴は、他のフォントに比べてモバイルやPC画面に最適化するためニュートラルのスタンスをキープしながらLINEならではの角丸の温かみを取り入れた点です。これはすべての文字で一貫して表れています。ユーザーへの想いを込め、一文字、一画を慎重に制作していったのです。
LINE Seed JPについてもっと詳しく知りたい方は以下の動画や記事もあわせてご覧ください。
2. 筑紫シリーズの誕生秘話
フォントに興味を持つ皆さんならご存知「筑紫明朝」をはじめとする「筑紫書体シリーズ」。この書体の制作者である藤田さんが、誕生秘話を語ってくれました。
秋の日の図書館のような雰囲気が漂う筑紫明朝は、ノートとインクの匂いからインスピレーションを受けたそうです。このフォントでは、いかにシャープに画面上で表現できるかを考量したデジタル書体とは逆に、印刷文字のインクの溜まり・滲み・ボケを大切にしています。長年、インク溜まりや滲みは印刷に携わる人を悩ませていましたが、そこに美しさや親しみを見出し、フォントに取り入れたのです。
細かいところまで美しくインク溜まりを表現したこの書体から、デザイナーのこだわりや人間味を感じることができます。また、一般的な明朝体のフォントは漢字ありきでひらがなとカタカナが作られるのに対して、筑紫明朝はひらがなありきで漢字にシャープさと柔らかさを加えて融合しました。漢字とひらがなの造形をより近づけ、美しく流れるような雰囲気の書体を生み出しています。
3. 愛され続ける筑紫シリーズ
筑紫明朝は「手の動きが見える書体」と呼ばれ、リリースから約20年経つ今も愛用され続けています。みなさんもある日、図書館で出会う一冊の本から筑紫明朝を見つけてその温かみを感じることができると思います。
有機的な滑らかさを見せる筑紫明朝以外にもゴシックや丸ゴシックなどの多くのシリーズがあります。ただの文字を超え、書体のデザインが、伝えたいメッセージを表現してくれるということで、たくさんのデザイナーにも愛されています。筑紫書体の名前を知らない一般の方でも実は広告や雑誌、CD、漫画、スーパーのチラシまで日常生活のさまざまな場面で目にしています。みなさんもきっと見覚えがあることかと思います。気づかないうちにそのデザインに触れている、生活の一部になる、これはデザイナーなら誰もが辿り着きたい境地のようなものなのではないでしょうか。
また、筑紫シリーズは進化し続けています。過去にあったデザイン方法を現代にアレンジするように手を加えています。見る人をドキドキさせる筑紫シリーズの魅力はこれからも続くのです。
事例など詳しく知りたい方はFontworksのホームページをチェック!
LINEのデザイナーたちの反応
藤田さんの講演はLINEのデザイナーたちに刺激と感動を与えるものとなりました。イベント後実施したアンケートでは多くの感想が集まりましたので一部ご紹介します。
いかがでしたでしょうか?
今後も社内のデザイナーが楽しみながら刺激を受けるイベントを行いたいと思います!