Yahoo!きっずの「マンガで学ぼう!AIガイド」から語る子供向けコンテンツのポイント
こんにちは!サステナビリティ推進統括本部CSR本部デザイン部デザインチームのkomaです。私は普段、Yahoo!きっずのデザインを担当しています。
Yahoo!きっずでは未来を築いていく世代(主に小学生)をターゲットに、自ら学び、新しい知恵や術を身につけられる場を提供できるよう日々サービス開発に取り込んでいます。
この記事では「マンガで学ぼう! AIガイド」の制作過程を通して、子どもに向けたコンテンツを作る上で大切にしていることや工夫したポイントをご紹介します。
なぜ「AI」をテーマにしたのか
現在、ChatGPTをはじめ生成系AIが社会の注目を集めています。子どもたちも自然とAIに触れる機会は多いものの、AIの正しい知識や扱い方に触れた子ども向け書籍やWebコンテンツは少ない状況でした。
Yahoo!きっずとしては未来を築いていく世代に向けて率先して出すべきテーマであるということもあり「マンガで学ぼう! AIガイド」の制作を進めていく運びになりました。
より正しく、わかりやすく学んでもらうために
今回の制作にあたり、子どもたちにAIに関する知識を「正しく」「わかりやすく」学んでもらえるように、さまざま点を工夫して進めました。主に以下がポイントとなっています。
1. ガイドラインの踏襲と信頼できる情報源で正確に
Yahoo!きっずで学習コンテンツを作成する際は、文部科学省が告示している学習指導要領を参考にする場合が多いです。今回は生成AI利用に関するガイドラインをもとに構成案を考えています。
コンテンツ内容は実際に生成AIに聞いて参考にした部分もあります。もちろん、生成AIの回答をそのまま使うのではなく信頼できる公的機関を情報源とするWebサイトや、専門家が監修した書籍などで正しい情報かどうかを確かめます。社内の専門部署の方にも協力いただき、正しい情報が伝わるように精査を行っていきました。
「生成AIの利点と問題点」については文部科学省のガイドラインでも触れているため、特にこの部分は押さえておきたい内容だと思いました。
2. 伝えたいイメージを絞り、わかりやすく
仕組みや概念を説明する時は図やイメージに置き換えてわかりやすく伝わる形にしていきます。特に子どもに向けて作る場合はどこまで説明するかの観点を意識しています。
例えば、「AIの仕組み」を伝える状況を例にみてみましょう。大人向けには「AI(人工知能)」、「機械学習」、「ディープラーニング」の3つの分類や関係を説明すれば理解してもらえそうです。ただ、分類や概念の把握が難しく小学生には難易度が高そうです。
そこで、子どもに向けて伝える場合は「データから学習することが伝わればOK」という線引きをしました。
説明イメージも「分類や概念」よりも「AIができること」にフォーカスを置いた構成にしています。「機械学習」についても単語は前面に出さず、仕組みを説明してから単語を出すことで自然と流れで理解してもらえるような作りにしています。
このほかにも「音声アシスト」「対話型チャット」のような区別がややこしくなりそうな活用事例は混同させない、「規約」といった難しい言葉は別の表現にする(ルール)など、子どもたちがスムーズに情報を理解できるように調整を重ねていきました。
3. マンガで学びのハードルを下げる
子どもに向けたコンテンツを作るには興味関心を引きつけるための工夫が欠かせません。ここは毎度頭を悩ませていますが、やりがいを感じる部分でもあります。今回は説明する情報が多くあるので、読んでもらうハードルを下げるためにマンガを活用することにしました。
マンガに出てくるキャラクターやUIも併せて考えていきます。
メインキャラクターのDr.キャットは近未来感とAIについて親しみを感じてもらいやすいようにデザインしました。AIロボットという設定なので「耳」まわりのパーツを意識して人間キャラクターと直感的に区別できるようにしています。また、一緒に学ぶ子どもたちも今の時代にあわせた雰囲気にするなど服装や細かい仕草の部分も検討を行いました。
UIはスマホで見る場合はマンガを縦長のコマ割りにしてページの遷移ボタンをなくすなど、特集をシームレスに移動して見ていただけるよう実装を工夫しました。Webページとマンガで扱う内容を並行して検討するのは大変でしたが、一貫性のあるデザインに仕上がったかと思います。
マンガを通して著作権やプライバシーの問題点といった身の回りに潜む課題、子どもたちの疑問や気持ちをよりわかりやすく伝えることができました。これを読むだけでもAIの基本は結構学べると思うので、ぜひ目を通してみてください。
4. ワークシートで知識習得を後押し
AIガイドでは最後にワークシートを入れています。
コンテンツの内容を復習することでしっかりAIの知識を身に付けてもらうことと、子どもたちの知的好奇心を広げるためにAIについて自由に考えてもらうことを目的としています。学校の授業でも活用できる内容になるよう検討を重ねました。
最後に
内容的に少し難しいかなと心配していたのですが、子どもたちからは「AIを理解できた」という声が多くまずは安心しています。今後もこの特集をきっかけに多くの子どもたちがAIの正しい知識を身に着け、AIと共存するために何が必要かを学んでいただけると嬉しいです。
そして、生成AIを子どもが使うためには大人の協力も必須となってきます。大人の皆さまにもAIの知識、特に生成AIの利点と問題点についてはご理解いただき子どもたちのサポートをしていただければと思います。以上、子ども向けAIガイドできるまでのお話でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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