Designer's Interview #1 齋藤洋介
今回から始まりました、デザイナーのプロフィールを深掘りするDesigner's Interview。第一回目は2009年入社のUIデザイナー、齋藤洋介さんにお話を伺いました。LINEにはどんなデザイナーがいるのか、どんな考えを持って仕事に接しているのか。このインタビューから感じ取っていただければ幸いです。
ーまずは、現在のご担当は?
まだ外に出てないものが多いのですが、主にClova関連のUIデザインを担当しています。あとは、新規サービスのアイデア出し、デモUIの制作ですね。これは所属しているチーム独特のカルチャーかもしれませんが、デザインコンペみたいなことをやっているので。
サーファーからデザイナーに
ーLINEに入るまでのお話をお聞きしたいのですが、齋藤さんはサーファーでいらっしゃったとか
前職は制作会社のWebデザイナー、その前はアパレル系のデザイン担当でした。服そのものではなくて、服にロゴを入れるのが流行ってたのでロゴデザイナーになるでしょうか。
で、その前は、オーストラリアでサーフィンしてました(笑)
高校を出て友人が大学に行ったり仕事をしているのを見て、自分も何かしないとと思いワーキングホリデーに出たんです。はじめは英語学校に通うのですが、3ヶ月の学生生活も終わると自由な時間があり残りの9ヶ月は現地で知り合った友達とサーフィンばかりやってしまいました。
それだけでは飽き足らず、帰国後は海から10mの場所に引っ越して毎日サーフィンしてましたね。「お金いらない、サーフィンやりたい」と思っていたので、コンビニで土日の深夜だけ働いて後はずっとサーフィン。それを2年近く・・・
でもある日、このままじゃいけないって思い(気づくのが遅い)ピタッと辞めて、東京に戻りました。
戻ってからタイミング良く友達のアパレルブランドを立ち上げるプロジェクトにデザイン担当として参画させてもらいました。
立ち上げ後も継続的にお金が必要で、アパレルブランドとは別にアルバイトも。
掛け持ちのアルバイトはデザインの経験が欲しかったので、すべてデザイン関係です。
ーそこからなぜLINEに?
アパレルやアルバイトをしているうちに本格的にWeb業界で働きたいと思い、前職の制作会社へ。
そこで現職の上司と出会いました。彼がNAVER Japan(LINEの前身)に転職していき、職場の話を聞いているうちに「やりがいがありそうだな」と感じました。事業会社ならではチャレンジングな仕事内容が面白いと思ったのと、デザイナー志望だったら「デザイナーとして最高のモノを出せる人が活躍できる」って話を聞いて燃えました。マインド自体は今のLINEと変わってないと思います。
午前中は、デザインにチャレンジ
ー1日の流れを教えてください。
10時半くらいに出社して、昨日制作したデモデザインを改めて見直します。フレッシュな気持ちで昨日のデモを見ると「やっぱりこっちの方がいいんじゃないか」というような発見があるので、それを試します。昨日は煮詰まっていたけど、一日開けると力が抜けたリラックスした状態でデザインに向き合える感覚があるんですよね。
午前中はそういったデザインにチャレンジする時間にしています。
ランチタイムは先輩デザイナーといつも一緒にすごして英気を養っています。
午後は調べ物をしたり(インプット)見つけたアイデアをデザインしたり(アウトプット)を繰り返しています。
ー休日はどのように過ごされていますか?
少年サッカーのお手伝いをしています。午前中グランドにいるので季節問わず日焼けしてます。サーフィンは「ちゃんと仕事できるようになったら再開しよう」って思っていたんですが、気づいたらいい歳になってしまってました。
もう沖に出る体力がなさそう(笑)
でもたまに海の近くに住みたいなって思うことはあります。
意思決定の速さに驚いた
ーLINEに入る前のイメージは?
当時(NAVER Japan)、話に聞いていた検索をカルチャライズするという目標に対して、全社員が向かっているというのがどういう雰囲気なのか興味がありました。あと、「デザイナーとして最高のモノを出せる人が活躍できる」という話を聞いて、「絶対スゴイ人ばっかりでしょ」って不安には思ってました。
ー入社後の印象は、いかがでしたか?
やっぱりスゴイ人ばっかりでした(笑)
意思決定の速度が全体的に早い、プロジェクトが進んでいてもベターな方向性が見つかるとすぐに方向転換するのにも驚きました。
後は、同僚であるUIデザイナーの勘所の良さですね。たとえば「こういうの見せて」って言われてる時に、私はすぐに理解できなかったんですが同僚たちはすぐに理解して提案していました。勘所が良いのと引き出しが多さに驚いたのを覚えています。
初めの頃は遅れをとっていたと思います。そんなデザイナーの状況は今も変わらないので、新しくジョインしたデザイナーは同じように感じるかもしれません。
かつて、イベントでアプリのインストールキャンペーンを展開したことがあったんです。「アプリをインストールして写真投稿したら500円相当のチケットをプレゼント」という企画があって、私がチケットとチラシのデザインを担当しました。デザインも最終工程に入り上司に確認「もっとユーザーフレンドリーに、インストールしただけでチケットをあげてください」とのご指摘。
プロジェクトも終盤で時間も無く、企画にも合意取らないといけない。でも、より多くのユーザーにアプリをインストールしてもらうというのが目的なら他のことは不要だってことに気づかせてもらった良い事例でした。他部署の方々も変更の理由に納得して無事完了する事が出来ました。
そういったスタイルは今も変わってないと思います。
UIデザイナーは最初のユーザー
ー仕事をする上で大切にしていることはなんですか?
「より良いものにする」を常に思い考えながら仕事をするようにしています。時間が許す限り、ギリギリまで一番良いデザインを求め続ける。
私たちはUIデザイナーなので、いつも「なぜ?」と自分に問いかけるようにしています。
「なぜ、この機能が配置されているのか」みたいな事を自問自答します。
ユーザーにこの画面の目的を明確に認識してもらうために、不要な要素をそぎ落とし画面構成をシンプルにしていく、厳選していていった結果がこれで良いのかってことは考えないといけない。削った理由がエゴではなく、自然じゃないといけない。
はじめの計画では入っていた要素も「不要かもしれない」と自分に問いかけて「いる」「いらない」や「強弱」を変えてみるとかそういったことを繰り返して、画面や一連の流れをより良いものになるように完成度を高めます。
UIデザイナーは最初のユーザー。自分で画面や一連の流れを制作していて何かが引っかかるのなら、ユーザーもきっと同じ気持ちになると思います。
ーどんな人と働きたいですか?
一言で言うと、「ポジティブな人」。クリエイティブな仕事で大切なのはポジティブな感覚かなって思っています。
プロジェクトを進行する上で意見がぶつかる事もあるし、それを受け入れられる姿勢、イエスマンではなく自然に前向きに。
問題が出た時も「出来ないよりも出来る方法」をまず考える人
下調べや準備、地道な努力をポジティブに取り組める人が良いですね。
「UIデザイナーは最初のユーザーになる」になるという齋藤さんの言葉、胸に刺さりました。そのマインドがあるからこそ、常にシンプルでわかりやすいデザインを追求し続けられるのだろうと思います。