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合併後初めてのイベント「LINEヤフー BIZ Conference」デザインの裏側をご紹介

2023年10月2日、合併後初のイベント「LINEヤフー BIZ Conference」が開催されました。LINEヤフー BIZ ConferenceとはLINEとヤフーの合併後、広告主/代理店を対象として、マーケティング領域におけるLINEヤフーの戦略と、それを実現するためのプロダクトや体制について紹介するイベントです。
LINEヤフー BIZ Conferenceのキービジュアルや映像・会場についてのデザインはデザイン統括本部が担当しましたが、今回は合併後すぐに開催されるイベントだったため、これまでとは全く違うフローで制作することになりました。

これまでとは違うフローでの制作

従来は事業部やイベント担当チームからデザインの依頼が寄せられると、その依頼内容の概要、コンセプト、方向性などを元に、VX室がキービジュアルを制作していました。そのキービジュアルがデザインのベースとなり、Webサイト、動画、イベント会場のデザインが作り上げられていきます。
しかし、今回は合併前のタイミングであり、LINEヤフーのブランドガイドラインも並行して整備している最中での依頼だったため、ブランドコンセプトや方向性が決まっておらず、またスケジュールの都合によりキービジュアルが無い状態からスタートしなければならない状態でした。そのため、イベント担当チームと打ち合わせを何度も行って各デザイン成果物を作り上げました。
そこでここからは、各部署のデザイナーが、キービジュアル、モーショングラフィックと映像、イベント会場をどう作り上げたかお話しします。


キービジュアル

VXD本部(Visual eXperience Designの略)とLINE Plus VXチームにて、イベントのキービジュアル、イベントロゴ、ガイドライン、オンラインツール、オフラインツールやフードの監修を担当しました。
LINEヤフー BIZ Conferenceは合併後の初のイベントであることと「W!th」というイベントテーマを事業部から聞いていたので、コーポレートとイベントの2つの側面を内包したブランディングにしました。
コーポレートカラーである、LINEのグリーン、ヤフーのレッド、LINEヤフーのネイビー、そしてパートナー企業も加え、各カラーが一体となるグラデーションによってイベントテーマである「W!th」を表現しています。
また、LINEヤフーのロゴにも採用しているイノベーションエッジ(斜線)を取り入れることで、イベントテーマだけでなくLINEヤフーのブランドアイデンティティの要素も取り入れたキービジュアルになりました。

来場者にはタンブラー、コースター、ドリップコーヒー、ステッカーをシックなコットン製の袋でまとめて包装したノベルティーをデザインし、当日お渡ししました。

今回のプロジェクトで苦労した点は、「コーポレートとイベントテーマのどちらに重心を置き伝えていくべきか」という点で、表現上のバランス加減に苦労しました。
また、LINEヤフーのブランドガイドラインの制作も同時進行していたので、ガイドラインが変更になった際にLINEヤフー BIZ Conferenceのデザインにも反映をする必要がありました。取り組むべき課題は多かったものの、このプロジェクトを通じて新しい取り組みを多く行ったことでさまざまな成果を生み出すことができたと思います。
その他、キービジュアルのグラデーションは、イベント会場のスクリーンで表示した際に最適に見えるように設定をしていたので、オフラインツールのCMYK印刷では色の再現が難しいという課題がありました。そのため、印刷方法に配慮して、RGB印刷や色数の多いインクジェットプリントを使用することによりオンスクリーンで見るカラーの印象と遜色ないレベルの再現性を実現することが出来ました。

それだけではなく、今回はVXD本部とイベント会場デザイン担当のCX2 チームが密にコンタクトを取り、ステージ壁面ではどのような紙が最適か、会場のサインのサイズはどうするのか、照明はどれを使うのかなど一緒に実物を見て検討しました。空間デザインについて、専門知識が豊富なCX2 チームと共に制作することでイベント会場がより良いものになったと思います。
イベントブランディングは様々な制作物があるので、多くの関係者とのコニュニケーションが重要になります。社内に空間や映像の専門チームがいることで、スムーズにコミュニケーションすることができ、結果的にVXD本部の効果をより高めることに繋がったと思います。

モーショングラフィック

MX部(Multimedia eXperienceの略)Motion Graphic Designチームでは、オープニング動画、コンセプト動画、休憩中に使用する動画の企画とディレクションを担当しました。

LINEヤフーの「期待感」を盛り上げて、テキストをメインの動画であったため来場者が「テキストを気持ちよくて楽しく読める」ように、テンポとリズムを重要視して、観ていて飽きないようにしました。今回タイトなスケジュールによりキービジュアルが無い状態からのスタートであったため、過去のフローから離れて新しいデザイン、新しい挑戦で取り組む必要がありました。
ただ、新しいフローであったため、皆と意見を合わせることや誰もが納得するデザインなのか判断が難しかったです。特にコンセプト動画の制作では、いつか実現しうる未来のLINEヤフーのサービスを想像して「まだこの世には存在しないサービス動画」を作ることは困難を極めました。ですが、事業部とデザイナー全員が手探りで何度も打ち合わせと擦り合わせを重ねて少しずつデザインを固めていくことが出来ました。
何もルールもガイドもない中での製作は大変でしたが、そこをポジティブにとらえさまざまな意見や提案を受け入れ、ブラッシュアップすることで完成度が高い動画が出来たと思います。また、キービジュアルを元にデザインしていないため、オープニング動画を「LINEヤフー BIZ Conference」以外のイベントで使用することも可能となり、他の所で使用したいという要望をいただきました。現在別のバージョンを何種類か製作しています。
それだけではなく、VXD本部で制作したキービジュアルは計算されたデザインであったため、そのグラデーションを動画で表現するのはとても難しい作業でした。そのため、動画と異なるスタイルが功を奏したのと、予想外に動画とキービジュアルがマッチしていたので驚きました。
キービジュアルを使用して動画を製作することでイベント全体とトンマナを合わせることももちろん必要ですが、今回はうまく全てが噛み合っていたと思います。

動画

MX部Production Designチームではステートメント動画の企画と制作、ディレクションを担当しました。

合併後、初の大型イベントだったので、LINEとヤフーそれぞれの歴史をふりかえりつつ、ひとつになったLINEヤフーが「明るい未来つくり」に挑戦する覚悟をステートメントムービーを通して表現することに心がけました。また、音楽と映像編集には徹底的にこだわってます。
依頼をいただいた時は、LINEヤフー BIZ Conferenceの詳細内容がまだ決まっていない段階での動画制作を開始した上に、制作期間が1ヶ月ととても短いスケジュールでした。チームメンバーの総力を挙げて制作に挑んだんですが、大型イベントのプロジェクトであったため、今までにない大きな責任とプレッシャーを感じながらの作業でした。
LINEヤフーのブランドガイドラインとLINEヤフーとしてのクリエイティブのトンマナがまだ決まっていない段階だったたため、今後を担う動画の方向性を提案するのがとても難しかったです。
そのため、事業部にイメージを共有しやすいように企画構成(ナレーション)、ビデオコンテ(ストーリーボード)を何度も試行錯誤しながら制作して提案し、Motion Graphic Designチームと動画の企画構成の方向性を連帯することで、LINEヤフーのクリエイティブとして皆のコンセンサスのとれたムービーを制作をすることが出来ました。
LINEとヤフーがひとつになる新しい出発のタイミングだったので、過去の事例やレギュレーションが無く、無限の可能性がある中、新しい挑戦をすることができ、クリエイティブという観点で会社に大きく寄与できる実感を感じることが出来たプロジェクトでした。

イベント会場

CX部CX2チームでは、受付・メインホール・アフターパーティーの会場デザインを担当しました。レイアウトや造作はもちろん、照明の演出やフード・ドリンクやコンテンツを含めた、ゲストがその場で体験することすべてを監修しました。「W!th」というイベントテーマが表現されたキービジュアルとMX部で制作された各動画を最大限活かすために、「造形的な空間デザイン」ではなく1日を通してLINEヤフーの世界観を感じられる「体験そのもの」をデザインしました。合併後初のイベントという祝祭感と、これから一緒に未来を作っていくという期待感を表現するために、映像・音楽・照明を一つの生き物のように連動させることで、インパクトとワクワクを感じられるように演出しました。

前述した通り、キービジュアルも決まっていない状況で会場の空間デザインの提案を繰り返すことは難しいことではありましたが、事業部の皆さんがいつもポジティブだったこともあり、高いモチベーションを保ちながら楽しくデザインしていくことができました。

メインホールでは、700インチワイドスクリーンで流れる迫力あるムービーとLED照明を連動させました。ムービーに合わせて照明をどのように連動させるかの絵コンテを作るために、初めてAdobe Premiereを使用しました。この絵コンテをつくったことで、リハまでの期間で照明チームにシステムを組んでもらうことが可能になり、現場では微調整の時間を確保することもできました。

またこれは余談ですが、「本番直前の一番疲れているときにこの絵コンテが送られてきて元気が出た!」と事業部の方に言ってもらえたのはとても嬉しかったです。

また今回は進行方法も少し工夫しました。今までは事業部中心のやり方だったのですが、実はこれだと他チームの情報があまり見えないことがありました。特に今回は映像やビジュアルとの連携が必須だったこともあり、我々は事業部と同じ立場で同じ情報を得るために、すべてのMTGに参加し、すべてのSlackに入ることでワンチーム体制で臨むことにしました。
このおかげで、我々は情報共有のスピードと解像度がぐんと上がりました。また事業部側も、情報共有と管理のリソースがいらなくなった分、イベント運営に集中することができ、イベント全体のクオリティも向上することができました。この進行方法はかなり成功したと思うので、今後も続けていく価値があるチャレンジだったと思います。

最後に

イベント開催後、会場参加の申込数が103%、オンライン配信の申込数は116.5%と目標以上の実績、イベント会場参加者の満足度は90%を達成することが出来ました。
また、来場者から以下のようなコメントをいただきました。

  • 未来志向の内容にワクワクとパッションをいただいた。

  • マーケティング動画がかっこよかった。広告代理店なので、セッション1の内容を一番興味深く感じました。

  • 動画や事例など具体的なイメージがしやすい工夫が多く、非常に理解しやすかったです。

  • 会場の雰囲気も良く新しいプラットフォームのお話聞けて良かったです。

  • 新会社のフレッシュな雰囲気を感じられる良いイベントでした。

  • 凄いことが起こったことをイントロの動画で改めて実感しましたし、両者とのご縁をさらに自社に活かさねばという気持ちになりました。

来場者がイベント会場のすべてのデザインに接することができたので、LINEヤフーが考える未来をイメージしやすくなったと感じたコメントでした。
何も無い状態でのデザイン作業でしたが、各デザイナーが今までの経験と感覚を活かして、デザインのスタイルが異なっても、統一感のあるデザインを実現できたと思います。また、全デザイナーもこのプロジェクトの新しいフローをきっかけに、互いの作業を任せられるという信頼感も感じました。
これからも私たちは新しいデザインを生み出していくので、LINEヤフーDesignに注目していただけると嬉しいです。

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