東京と福岡、離れていても同じ目標のために最適化された LINEギフトのデザイン組織
東京×福岡で作られるLINEギフト
こんにちは、LINEヤフーのコマースカンパニーで、LINEギフトのブランド・ビジュアルデザインを担当しているContents Design部(以下CDD)のJT(チョイ・ジュンテ)です。
LINEギフトでは、ユーザーにとってより便利な体験と魅力的な情報を届けるため、多くのデザイナーが日々尽力しており、東京に拠点を置くLINEヤフーのデザイナーだけでなく、福岡を拠点とするLINEヤフーコミュニケーションズのデザイナーと協業して作り上げています。
今回は、それぞれ東西で拠点の異なるメンバー同士がオフラインで初めて交流した1泊2日のワークショップを通して、お互いの存在を直に感じながら、協業することでシナジーを発揮することができたという事例についてお話しします。
LINEヤフーコミュニケーションズ博多オフィス
福岡県の博多にあるLINEヤフーコミュニケーションズは、LINEヤフーのグループ会社であり、以下のような様々な業務を担当しています。
・クリエイティブ: 各種サービスのデザイン・イラスト業務および運用業務を担当。
・テスト: 国内外で開発される、LINEヤフーが提供するサービスについて、品質向上を目的としたテスト業務全般を担当。
・顧客管理、審査、モニタリング: LINEヤフーが提供するサービスの顧客ケアや審査・モニタリング業務を通じて、サービスの品質向上を推進。
・営業マーケティング: LINEヤフーグループが提供するサービスの利用拡大を目的としたお客様へのコンサルティングマーケティングを実施。
・サービス運営: LINEヤフーグループが提供するサービスの運営ディレクションや各種分析のほか、サービス関連の通訳・翻訳業務。
・企画・管理: サービスの新たな価値創造を行うプロジェクトの企画推進と、サービス運営組織の業務最適化・管理。
・社内IT、コーポレート: 社内のIT業務や広報、人事関連業務を通じて、環境整備や会社・社員の成長をサポート。
LINEギフトでは、プロダクトを中心としたUI・UX・VXデザインは東京の紀尾井町オフィスを拠点とするメンバーたちが担当し、外部バナーやマーケティングなどに使われる運用系のデザイン制作物についてはLINEヤフーコミュニケーションズのメンバーたちが、それぞれ役割分担してデザインしています。R&Rはそれぞれ異なりますが、LINEギフトというプロダクトが、もっと便利で魅力的に、より多くのユーザーに利用してもらえるかを日々一緒に考えています。
一貫したユーザー体験を提供するために、日々のコミュニケーションはもちろん、毎週定期的にデザインレビューミーティングを行い、お互いの情報や認識合わせを適宜実施しています。
1泊2日のワークショップ
今回の東京×福岡のデザインメンバーたちの交流は、より完成度の高いプロダクトを作ることを目的とし、それぞれ様々なプログラムを用意しました。これまでそれぞれが専門分野で培ってきた知識の共有や、リモート環境では可視化されにくく、他のメンバーからは見えづらかった個々の業務プロセスを共有しました。より強固なチームワークを築くのに役立つ内容だったので、やってよかったと実感しています。
それでは、2日間のワークショップで実施した9つのプログラムについて詳細をこれからご説明していこうと思います。
<東京> ナレッジ共有
デスクついて行ってイイですか?- SEULGIさん
コロナ禍以降、リモートと出社をハイブリッドした業務に移行して5年。これまでLINEギフトに関わって一緒に働いてきた東京×福岡のメンバーは、Zoomを通して自己紹介をしたり、好きなものや趣味を話し合ったりという経験はありましたが、残念ながら、それぞれの記憶にはあまり残っていないようでした。オフィスに出社していた時期は、各々のデスクに好きなキャラクターの置物を置いてデコレーションするなど、その人の個性を発見して話しかけたり、話さなくてもなんとなくその方の「人となり」が理解できました。そんな経験から、『デスクについて行っていいですか?』という企画を思いつきました。
少しプライベートな空間である自宅のデスクを見せながら説明するので「あー、この人のデザインはここで生まれるんだ」と思うことで、より印象に残ると感じました。今回のワークショップを経て、Zoomだけで話をしていた以前よりさらに一歩、お互い近い存在になれたのではないかと思います。
シーズナルイベントのデザインプロセス・流れ- DAWONさん
LINEギフトでは、季節に応じた様々な楽しいイベントを実施しています。 各季節のイベントならではの特徴や雰囲気をユーザーに提供するため、デザインは欠かせない業務の一つです。今回のワークショップでシーズナルイベントに関するデザインを行うすべてのデザイナーとプロセスについての認識を共有する場を設けました。2024年度のサマーギフトを例に、キービジュアルのデザインや制作プロセスについて共有しました。制作プロセスの流れは以下のように大きく3段階に分かれています。
デザインリサーチとコンセプト制作
まずは、イベントの企画設計をするグロースチームからサマーギフトの全体的な企画案の説明を聞きます。 今回は各地域を代表するイラストレーターのメッセージカードを公開する企画があり、「LINEギフトでお中元カードを送ろう」をメインテーマとして設定しました。 そのため、以下の3つのキーワードを元にデザイン設計を行いました。
地域性:地域の特産物の包装紙によく使われる紙の材質と水彩画要素を使用。
POP感:カードのイラストが全体のデザインに溶け込むよう、デザイン素材としてPOPなフルーツのイラストを使用。
和風の夏感:夏の感じを出すため、水滴の要素を使用。
ドラフトの共有と完成
ドラフト案が完成したら、関連メンバーにメインデザイン要素について説明し、フィードバックをもらいます。 何度もミーティングを行い、関連チームとのサマーギフトのビジュアルに対するギャップを縮め、合意形成を得ながらデザインの完成度を高めます。
関連チームとの連携
キービジュアルのデザインが同イベントで展開される、すべての視覚的な作業物のコアとなるため、使用する画像やフォント、メインカラーなどが整理されたガイドラインを作成します。複数のデザインチームでサマーギフト関連デザインを進めるため、統一された視覚的な制作ガイドラインが必ず必要になります。完成したキービジュアルデザインとガイドラインは東京のデザインチームから福岡のデザインチームに共有され、キービジュアル以外の関連制作の参考資料として展開されます。
デザインを最終化するうえで、品質に対して気を遣う点・改善点・注意点 - HYOさん
ユーザーにより良い体験を提供し、安心感を与えるためには、同じプロジェクトの中でデザインの世界観を統一することがとても重要です。ガイドラインがあれば、同じプロジェクトを異なる人がデザインを展開しても、全体の統一感を保つことができます。そのため、私たちは関連チームにデザインのガイドラインを提供することにしました。ガイドラインには権利問題をクリアした画像、使用可能なフォント、そしてキーカラーが含まれており、必要に応じて注意事項も記載しています。
また、私たちのチームで制作物をダブルチェックする際に気づいたポイントについて話をまとめています。「レイヤー整理」「使用カラーの確認」「ズレの確認」「フォントサイズの確認」などを行い、他の人でも使いやすい素材を提供できるよう、常に心掛けています。
デザインの連携をより強くするために - SANGMIさん
デザインは一人では完成できない協力が必要なプロセスであり、デザイナーは自分の作業だけでなく、その作業が他のデザイン要素とどのように連携するかを深く考える必要があります。そこで自分のデザインと他のデザイナーの作業を効果的に統合する方法について解説しました。
自分のデザインが他の人のベースになっても問題ないか?
この質問は、自分のデザインデータがどれだけ明確で体系的に整理されているかを見直す良い機会になります。
デザインデータは直感的でアクセスしやすく整理され、他のデザイナーが簡単に活用できるよう一貫性を持たせることが重要です。
データの一貫性を確保し、使いやすさを最大化することで、コラボレーションの効率を高めることができます。
どうすればもっと簡潔なデザインが実現できるか?
簡潔なデザインは、レイアウト、レイヤー、エフェクト、フォントなど、すべての要素に統合的に適用されます。たとえば、1つの丸みを帯びた四角形を作成するために3つのレイヤーを使用するよりも、単一のレイヤーに曲率を追加する方が効率的であり、修正作業も非常に簡便です。すべてのデザイン要素とプロセスを簡潔に構成することで、結果的により明確なデザインを実現できます。
このように、専門性と効率性を考慮したデザインアプローチは、協力の質を向上させ、最終的にはデザイン全体の一貫性と完成度を高めることができます。
インタフェース デザインの心理学 - Eunaさん
「インタフェースデザインの心理学」というテーマで発表を行いました。この発表は、私が参考にした書籍『インターフェースデザインの心理学 第2版』(著者:スーザン・ワインシェンク、2014年、エムディエヌコーポレーション)を基に、その中で学んだ内容を共有し、実際の業務にどう活かせるか紹介しました。
心理学的なアプローチがユーザー体験をいかに向上させるかを、クイズを交えながらいくつかのテーマで解説しました。例えば、「お金より時間が重要」というテーマでは、顧客が時間や体験に対して親近感を抱きやすく、それが購買意欲に影響するという点に触れました。また、「一度に覚えられるのは4つまで」という記憶に関する法則や、「選択肢が多いと魅力的に感じる」という心理的傾向をデザインに反映する重要性も取り上げました。
書籍の内容を引用しつつも、それを現場でどう活かせるかについてメンバーと議論する場が作れたので非常に有意義な時間となりました。
<福岡> ミニマム改善
福岡のデザインチームでは日々、恒常的な施策からシーズナル施策まで幅広いデザインを担当しており、 限られたリソースの中で、ユーザーに少しでもギフトの魅力や価値を届けられるように、さまざまな提案や改善に取り組んでいます。 そういった日々の改善施策の紹介や、東京からは見えない"私たち"を知ってもらうための発表をおこないました。
企画/運用チームと連携 - Tanakaさん
LINEギフトはここ数年で急成長を遂げたサービスですが、サービスの成長とは裏腹に、現場には改善すべき点が多く、さまざまな課題が浮き彫りになっていました。
なかでも制作依頼に対してデザインリソースが逼迫するというのはとてもクリティカルな問題でした。
そのような問題に対して我々は以下の2つの対策を実施しました。
<1> 現状の課題を洗い出し、率直にディレクターと事業側へ説明をする
<2> 案件をグルーピングし、難易度を軸としたランク付けをする
これにより、以前よりもデザインリソースを考慮したスケジューリングが行われるようになり、
タイトなスケジュールが減少。より柔軟な発想と思考をもってデザインと向き合えるようになりました。
業務進行改善 - Kizukaさん
東京と福岡の連携が強くなっていく中、制作物のクオリティや効率に重点を置くために、福岡メンバー間での連携がますます重要になってきました。 そのためここでは、福岡メンバーの業務進行をより良くするために行った改善(案件管理や製作物以外の作業、まとめページに関してFigmaで整えたことなど)について東京メンバーにも共有を行いました。
イラストの提案と活用 - Junさん
LINEギフトが新しいイラストシステムを導入し、人物イラストも多くの制作物で活用されている中で、福岡チームは制作の現場でイラストのスタイルをさらに拡充し、様々なキャンペーンやイベントに適用しています。 東京のデザイナーたちと制作時の工夫やこだわりを共有し、活用事例を振り返りました。
仕事以外にも、充実した2日間
以上が、コマースカンパニー傘下でプロダクト・ブランドデザインを担当している、東京 x 福岡のデザイナーによるワークショップのご紹介でした。
私たちの組織はより強い繋がりとチームワークを維持しながらビジネスに貢献し、ユーザーファーストでありながらも美しいビジュアルデザインを創出しています。今後も引き続き、LINEギフトの魅力的なデザインをお楽しみください。
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LINEヤフーDesignは随時、取材のご依頼をお待ちしております。公式XのDMにお問い合わせください。
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