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インハウスでやり切ったLINEヤフーコーポレートロゴ制作のプロセスとは

こんにちは、LINEヤフーDesign公式note編集部です。
この記事では、2023年10月にお披露目となったLINEヤフー株式会社のコーポレートロゴならびにブランドデザインについて、どのようにプロジェクトが進行されたのかといった制作プロセスや背景にある思想、コンセプトなどについてご説明します。

プロジェクト概要

新会社のブランディングプロジェクトは、2023年4月のキックオフから10月のリリースまで、約半年に渡って進行され、同年6月に行われた経営層向けのデザイン提案を経てロゴデザインが決定後も新会社として始動するための様々な準備に取り組んできました。
合併に関わるLINE、ヤフー、LINE Plus(韓国にあるグループ会社)3社のブランドデザイン担当チームが協業し、リサーチからコンセプト立案、デザイン作業に至るまで全て内製でブランディング。新会社として何を軸とするべきか、まさに真っ新なキャンパスに最初の一筆を入れるような作業からプロジェクトはスタートしました。

制作プロセス

参加したデザイナーは総勢30名。大人数でも「目指すべきゴール」が一致するよう、まずはコアバリューとなるキーワードを設定して方向性をすり合わせることから始めました。
その後は効率的に作業を行うため、3社それぞれのチームに分かれてアイディエーションを行い、デザイン案を持ち寄りました。そこから絞り込んだデザインを元にブラッシュアップを繰り返して社内提案に臨みます。
ロゴが1案に決定した後も多くの課題に取り組みました。ロゴの完成度を高めるためのディティール調整、LINEとヤフーのアイデンティティーを活かしたブランドカラーの設定、コンセプトを視覚化したデザインシステムの展開、ガイドライン策定...
ブランディングに参加したデザイナーにとって、1つ1つの作業が合併という特別なタイミングだからこそできた貴重な経験となりました。

コンセプトとデザインアプローチ

プロジェクト開始直後から多くの議論を重ね、LINEとヤフーに共通する重要な価値として「テクノロジー」と「フレンドリー」を視覚的に表現するべきキーワードに設定しました。

その後、さまざまなアプローチでアイディエーションを行い、戦略的にデザイン案を絞り込みます。LINEとヤフーの既存のアイデンティーを継承したデザイン、ニュートラルで汎用的なデザイン、そして新しい価値をイメージさせる新規性が強いデザインの3方向に分けて提案した結果、両社のアイデンティーをバランスよく取り入れたシンプルで安定的なワードマークタイプのロゴが完成しました。

初期段階から皆で様々な検討を重ねた中の1つとして提案したのが「Stay Closer, Go Further」をコンセプトにしたロゴデザインでした。“両社の結束によって革新を生み出しながらユーザーに寄り添い続ける”という意味で、これまでと変わらない安心感と今後の発展への期待感を感じさせたいと考えました。

また、2社のアイデンティティーを継承する表現として「LINEロゴのラウンドフォルム」と「ヤフーロゴのエッジ(傾斜)」をロゴデザインに取り入れました。「Harmony Roundness」は「ユーザーに寄り添う姿勢」、「Innovation Edge」は「革新を生み出す挑戦的な姿勢」を表しています。
特に「Innovation Edge」は新ブランドの1番重要なビジュアルアイデンティティーと位置付けていて、さまざまなデザイン展開の中で62°のエッジを生かした表現を行っています。

ブランディングのポイント

コーポレートロゴは1度作れば簡単に変更できるものでなくインパクトが大きいため、関係者のデザインへのこだわりは並々ならぬものがありました。そのため、1案に絞られた後も細かくデザインをチェックして、ディティール表現の比較検討を繰り返しました。
縦画・横画の太さのバランスや文字間、払いのカーブの付け方や先端部分の処理など、カタカナ独特のリズムを自然に心地よく感じるバランス調整は特に難しかったです。

ラフに近い初期のデザイン案とディテールを詰めた完成形ロゴを比較すると、やはり完成形の方が良質で安定的です。幾度も繰り返した緻密な修正は無駄ではなかったと思います。

そして、今回のプロジェクトで取り分け注目度が高く、活発に議論されたのはブランドカラーです。
「LINE=グリーン」「ヤフー=レッド」という既存のブランドカラーはとても印象強く、直感的に両社を認識させるパワーを持っていました。LINEとヤフーが合併して1つになったことを表現するために両社のブランドカラーを生かすことが有効と考えましたが、補色関係にあるグリーンとレッドの不調和を解消する手段が必要でした。
そこで出たアイデアがデザインコンセプトでもある“革新性”や“信頼感”を印象づけるカラーとして、「ネイビー」をブランドカラーに追加することでした。
このカラーは、新しい企業として期待感を感じさせながら、LINEとヤフーの異なるイメージや世界観を調和する重要な役割を担っています。

こうして、象徴的なブランドアセットにおいて、LINEとヤフーがそれぞれに培ったブランドのポジティブなイメージを継承しつつ、新会社の独自性を印象付けるブランディングが実現できたと感じています。

最後に

このブランドデザインに携わったデザイナーの1人は以下のようなコメントを残しています。「ロゴを作る過程で、両社の共通項が多かったと感じました。根幹の部分で、両社のパーパスに近いものがあったんです。」異なる文化や背景を持った両社ではありましたが、このロゴを共通項にし、ここから先進的でありながらも普遍的なものづくりへのチャレンジが始まっています。
ロゴを含むブランドデザインについては今後も定期的にリリースしていく予定です。今後もLINEヤフーのクリエイティブにご期待ください。

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