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Designer's Interview #2 田中寛子

デザイナーのプロフィールを深掘りするDesigner's Interview。第2回目は気鋭の若手BXデザイナー、田中寛子さんにお話を伺います。田中さんは入社して半年、すでに大きなプロジェクトをいくつも成功に導いてこられました。

ーまずは自己紹介をお願いします。

ブランドデザイン3チームの田中寛子と申します。入社して半年くらいが経ちました。入ってすぐに「LINEおみくじ」というキャンペーンのグラフィックと記者会見の空間デザインを1人で担当しました。その後、LINE DEVELOPER DAY 2019 のツール類を作ったり社外向けのイベントに関わらせていただき、並行してロゴの開発も何件か担当しました。

恩師の言葉に触発された学生時代

ー学生時代のお話を聞かせてください。

まず、高校生の時に美大予備校に通い始めました。ただ自分が得意だからとその道を選んだのですが、美術の世界に進むと将来どうなるんだろうという不安はありました。そんな時に予備校の先生が「デザインは世界のそこかしこに溢れている。だから、デザインの仕事は世の中にたくさんあるよ」と言ってくれたんです。それでデザイナーを目指してみることにしました。自分が得意なことを仕事にできるなら、いいなと思ったんです。
結果的に、その後入学したのは美大のグラフィックデザイン学科でした。私はIllustratorというソフトを使うのが苦手で、ポスターを綺麗に作るという授業にあまり馴染めず、スキルを上げることができたのは部活のおかげでした。
シルクスクリーンっていう版画をやる部活に入ったんですね。授業よりも部活中心に頑張っていて、その活動を通してデザインをする楽しさを知りました。自分で作りたいものを作るという目的のために、結果としてIllustratorが使えるようになりました。
部活を通して、販促に興味が出てきたのもあり、大学の後半には広告を専攻してセールスプロモーション系を中心に学んでいきました。シリーズものにして何点も制作したり、ユニークな仕組みの販促デザインに魅力を感じて作品を増やすといったこともしました。そして、卒業後はそのような方向性にマッチする広告制作会社に入社することになりました。

ーいくつも会社は受けたんですか?

広告制作系の代理店に行くのか、プロダクションに行くのかブレブレだったので「どういうところか見たい」という意味で受けたので結構な数だったと思います。
ただ当時は色々できるようになりたいと思っていたので、その希望が叶いそうな会社を探しました。結果、そのような会社に入ることができました。

ー前職ではどんなお仕事を?

広告制作会社のグラフィックデザイナーとして約5年半働いていました。その間、屋外広告・マス広告・キャラクター開発・パッケージ制作・リーフレット・イラスト・ロゴ・イベントスペースデザイン等、幅広く経験してきたと思います。規模の大きな会社だったこともあり、担当はビッグネームが多くやり甲斐がありました。担当したのは、飲料系やマス広告の大手食品メーカー、自動車、化粧品などです。
業務時間が非常に長く、辛いこともありましたが、仕事内容は楽しいことが多かったです。メインデザイナー、アートディレクターとして企画書作成・競合に勝利するという経験もこちらの会社で培えました。

ハッピーな方がハッピーなものを作ることができる

ーそこからなぜ転職しようと思いましたか?

広告制作を始めてから丸5年経って、たくさんのクライアント様のお手伝いをさせていただきましたが、通年で進行するものも含めて刹那的というか「私のものではない」という部分が気になってきました。クライアントや代理店が成果を握っているので、自分のデザインがいかほどだったのかを知る機会が少なかったのも一因です。自社のデザインをしたい、もっとおしゃれなものが作りたいと思い、転職を考えました。
あと、業務の時間が長く心にゆとりがなくなってきてどうしても明るいデザインができない、ということもありました。環境を変えたかったんですね(笑)
今感じているのは、プライベートも仕事もハッピーな方が結果としてハッピーなものを作れるということですね。

ーLINEを選んだ理由は何だったでしょう?

私は色々見てみたいタイプだったのでたくさんのエージェントを使って、色んな会社を見ました。転職活動をしていく中で、自分がやりたいことや、会社の雰囲気に自分が馴染めるかどうかなども、面接を重ねることで次第にわかるようになってきました。
まずLINEは第一印象から、オープンでフレンドリーな会社だ、好きな雰囲気だなと感じました。この空気ならやっていけるかなと思ったんです。面接では私の前職のキャリアをそのまま活かすことのできそうな業務内容に合わせて、スペースデザインなど他の職種とも協業できるといった説明を受け、会社にも貢献しながら自分自身も成長できるんじゃないかと思いました。
また、制作物の内容を見て、クオリティに非常に厳しく、シンプルかつスタイリッシュなデザインを徹底しているという部分に魅力を感じました。なんだかんだ、オシャレなものを作っている時が一番テンションが上がりますので…
それから私はAI技術とフィンテック事業などにも興味があったので、それらの事業にデザインで関われる可能性が示唆されたことも理由の一つです。
BXデザイン、UXデザイン共に社内で制作しているということで、両方で活用されるデザインを考案、制作のできるデザイナーとしてやって行きたい、ゆくゆくは両方ディレクションできるマネージャーになりたいと考えていたので、それらを目指せる土壌があると感じました。
その他の理由としては、デザイナーの全体数が多く、切磋琢磨できそうだという印象が強かったからです。インハウスなのに、バックグラウンドの違うデザイナーが100人以上在籍しているというお話をお聞きして、相互のキャリアアップにつながる環境に魅力を感じました。
実際にこの環境に身を置いてみてから、得意分野の異なる仲間がたくさんできたので、とても刺激があり毎日楽しく仕事ができています。

ビッグプロジェクトを経て得た「収穫」は大きかった

ーそうして入ったLINEでぶつかった最初の壁について教えてください。

今年6月に行われたLINE CONFERENCE 2019のデザイン制作は、非常に大きなプロジェクトでした。私はコンセプトから進行するメインデザイナーの1人でした。アイデアを出すところまではどうにかなりましたが、やはりLINEらしいクリエイティブへの理解が十分でなかったこともあり、デザイン提案がなかなか上手くいかなかったんですね。一方で、他の同僚であるBXデザイナーが非常に要領を得たものを多数提案していて、正直遅れをとっているという感覚が強かったです。
また、プロジェクトの後半はカンファレンスでお配りするノベルティの制作一式を担当していたのですが、予算管理をしながらデザイン制作進行をしたことがほとんどなかったこともあり、混乱しながら進めていました。経験豊富なメンバーに助けてもらうばかりで、心苦しい場面も多く辛く感じたこともありました。

ーどうやってその壁を乗り越えましたか?

「クオリティの高いものを作りたい」という今回のチームリーダーの熱意に影響を受け、結果的に自分も向上しました。綺麗なブレイクスルーがあったということではなくて、必死に食らいついていったという感じです。
大きいプロジェクトですので、予算や審査の問題など多くの壁にぶつかりました。でも、方向転換や解決へ向かうスピードが早い同僚デザイナーと協業をしていくことで訓練され、自分の可能性が広がりました。特に、その場でどんどんアウトプットできるスピード感が身についたと思います。
何か対策をしてできるようになったというよりは、プロジェクトのスピード感に食らいついて、どんどん経験することによって広がりが生まれた感じでした。3ヶ月で出来ることが格段に増えました。デザインスキルはもちろん、それ以外のマネジメントスキルもこれからのキャリアに繋がっていくと考えています。
1人では到底乗り越えられなかった壁も、チームメンバーと力を合わせたことで乗り越えられました。

ー結果は良いものになりましたか?

LINEのクリエイティブは非常に厳しいチェックを通って初めて制作を許されるんですが、チームメンバーと一緒にデザインしたものにめでたく全ての許可がおりて、たくさんの協力会社さんと共に完成まで作り上げられたこと、そして何より当日成功裏に終われたことは非常に素晴らしい経験になりました。
協力会社さんの選定も難しい業務の一つでしたが、今回ご縁をいただいた印刷会社さんが非常に美的センスに優れていらっしゃって、制作する上でとても頼りになったんです。飽くなき追求をした結果として、これは嬉しい収穫でした。
LINE CONFERENCE 2019の成果物も、手間を惜しまず詰めて行った甲斐があって、クオリティも非常に納得のいくものに仕上がりました。
社内外からの評判も良かったですね。もちろんカンファレンスで発表された内容が一番ゲストに感銘を与えたとは思いますが、SNSに感想がアップされる中でデザインに言及してくださっている方も多く、とても達成感がありました。
カンファレンスの内容をよりよく伝えるクオリティを発揮できたと思いますし、LINEクリエイティブの高いハードルを越えることができたと思います。
上長からは、今回のカンファレンスデザインに関して外部のアワードにノミネートしましょうという提案ももらうことができ、早速進行中です。
現在は別のプロジェクトで自分がリーダー的ポジションとなって進行しているものもあり、カンファレンスという大きなプロジェクトの経験を生かすことができていると思います。イレギュラーな制作物への知識も、広告会社にいた時よりさらに深まりました。

LINEのデザインは「思いやりの集合体」

ーLINEで仕事をするにおいて大切にしていることはありますか?

私が重視しているのは、明るく仕事をすることです。仕事一つ一つに楽しさを見出すことができれば、自ずとポジティブにデザインができるからです。気持ちにゆとりがあれば、気がつくことも増えます。LINEのデザインは「思いやり」、「こうしてあげたら良いかなの集合体」だと思うので、ポジティブな気持ちは大事です。
業務内容的な話をすると、いきなり一般論っぽいですがロジックが非常に大事だと感じています。次にリサーチです。
何を制作するにもまずロジックとリファレンスを求められます。なぜそのデザインを作るのか、なぜそのモチーフなのか。なんのためのデザインなのか。何を表して、どう伝えたいのか。全ての理由が説明できないといけません。かっこいい表現をしたくて表現マターで制作しても、すぐにバレます(笑)
ロジックができたらすぐに優れたデザインをリサーチし、新たな制作にどう活かすかを考え、なるべくたくさんのアウトプットをすることが重要です。意識さえすれば誰にでもできることだと思いますが、だからこそとても難しく、それでいて一番楽しい部分だと思います。
あとは、LINEクリエイティブのトーン&マナーを理解し、より洗練されたものを作るために手間を惜しまないことも大切ですね。

ーでは、最後に未来のLINEデザイナーに一言お願いします。

私にとって、LINEはとても楽しい会社です。デザインはオシャレなものを作れますし、自分のやりたい仕事がはっきりしていれば、希望も聞いてもらうことができて新しいプロジェクトへの参加の機会も与えられます。裁量の範囲が広く、プロジェクトのハンドリング、スケジューリングなどは各々に任せられます。他チームのメンバーと協業して進行するプロジェクトも多いです。
また、みんなの気持ちにゆとりがあるためか、他人に対して思いやれる風土があります。具体的にいうと休みが取りやすいです(笑)
快適な空間で、たくさんのデザイナーの仲間と一緒に働きましょう!


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