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わくわくの追求 -Yahoo!検索 観光モジュールのリニューアル-

初めまして。私たちヤフー検索デザイン部は、検索結果に表示される独自の回答モジュールのUI/UXを担当し、検索ユーザーの課題解決と目的達成を支援する役割を担っています。

突然ですが、皆さんは旅行やお出かけの際、場所や予定を決めるときに悩んだり面倒に感じることはありませんか? 旅行は本来わくわくするものですが、計画の煩わしさでその楽しみが損なわれるのは残念ですよね。

そこで、ヤフー検索観光プロジェクトでは、こうした煩わしさや悩みを解消し、ユーザーニーズを満たすために観光モジュールをリニューアルしました。この記事では、このモジュールがどのように改善され、リリースに至ったのかをご紹介いたします。


リニューアルの実施に至るまで

観光モジュールとは「京都 観光」などのワードを『「Yahoo!検索」のスマートフォン版」』で検索すると、その結果画面に表示されるモジュールです。旧モジュールは観光地の雰囲気がわかる画像を上部に大きく表示し、その下に「おすすめスポット」、「イベント一覧」、「観光テーママップ」が並ぶものでした。モジュール全体のUIも、検索結果内のUI/UXに準拠していたものの、シンプルな作りのため実際の観光ユーザーに適切な体験が提供されているかプロジェクト内でも懸念がありました。
そこで、まず、プロジェクト内ではユーザーの観光ニーズをきちんと把握するためにコンセプトテストを実施しました。

調査では、「行き先を検討するフェーズ」を「検討フェーズ」、「目的地についてより詳しく調べるフェーズ」を「深掘りフェーズ」とし、それぞれのフェーズでどのような機能があると便利か問うアンケートをモックアップと共に準備し、ユーザーが必要と感じる4つの機能を明らかにしました。

<検討フェーズ>

1.ガイドブック風目的地検索機能
・地図やモデルコース、最新スポット情報を見ながら目的地を探せる機能。

2.近隣スポット提案機能
・観光スポット周辺のおすすめスポットや食事処、お土産店を提案する機能。

<深掘りフェーズ>

1.現地リアルタイム情報
・天気(長期予報・服装)や交通など、現地のリアルタイム情報。

2.ご当地ランキング機能
・ご当地の人気スポット(景勝地、宿、飲食店)をランキングで表示する機能。

しかし、これまでの観光モジュールではこれらのニーズに応えられていなかったため、新しく機能設計を行い、上述の機能を搭載した簡易モックを作成しました。さらに、社内で旧UIと新UIを比較するウォークスルーを実施し、使用評価点が現行の平均2.9点(5点満点)からリニューアル後の平均4.1点に向上することがわかりました。
この結果を受け、実現性や工数を考慮した上で今回はまず、「ご当地ランキング機能」と「ガイドブック風目的地検索機能」にフォーカスして実装することになりました。

リニューアルの変更点①:おすすめスポットモジュールについて

「ご当地ランキング機能」に該当する「おすすめスポットモジュール」は既に存在していましたが、今回のリニューアルによりカード上部に画像を配置し、その下にスポット情報を表示するスタンダードなカード型デザインから縦型デザインに変更しました。この縦型デザインは、空や風景を含む広がりのある画像をより効果的に表示し、景観の美しさをしっかりと伝えることができます。
また、縦型レイアウトはSNSに馴染みのある 多くのユーザーに自然に受け入れられ、社内ウォークスルーでは、見栄えが良くなったという好意的な反響が多く寄せられました。
もちろん、ファーストビューで表示されるカード数が減少するため、クリック数が減る懸念もありました。しかし、リリース前のテストでは逆にクリック数が大幅に増加する結果が得られ、定性的にも画像が大きくなることで目を引き、スクロールしてカードをもっと見たくなるというポジティブな意見が多く寄せられました。

リニューアルの追加機能②:モデルコースモジュールについて

もう一つの「ガイドブック風目的地検索機能」に該当するのが、AI生成によって「モデルコース」を提示する新機能です。旅行会社のパンフレットやツアーデスクのようにモデルコースを提供するアイデアを発展させ、AI技術を活用して実現しました。
ユーザーシーン別に「王道」「ファミリー」「女子旅」「友達」「デート」のモデルコースを生成し、スポット間の交通手段や移動時間も含めた詳細な情報を提供しています。UIでは、旅行会社のチラシやガイドブックの体験を意識し、地図を表示しながらスポットを横スクロールさせ、UX上の工夫だけでなくモジュール全体の高さを考慮した調整も行いました。
テスト結果では、この新機能が他のモジュールと比べてクリック数が高く、他のコンテンツを阻害することなく効果を発揮することが確認されました。ユーザーからも「観光モデルコースの提示が明確で実用的」や「所要時間やルートが明瞭でわかりやすい」といった高評価を得ていました。

ABテスト後およびリリース後の反応

さらに前述で紹介した機能だけでなく、リニューアル後に実施したABテストの観光モジュール全体としての定性調査では、以下の点がユーザーから高評価を得ていることがわかりました。

  1. 写真の視覚的な魅力と情報の見やすさ
    写真の印象が格段とアップし、詳細な情報が豊富に提供され、視覚的な魅力が大幅に向上した。

  2. フレンドリーなデザイン
    情報が整理されており、直感的な操作で初めて使うユーザーでもスムーズに利用できる。

  3. 豊富な情報提供
    観光スポットやモデルコース、イベント情報など多様な情報が提供され、目的地を見つけやすくなった。また、地図表示や移動手段の情報も充実しており、実用的なツールとして評価できる。

このように、リニューアル後のモジュールは全体としても視覚的な魅力や使いやすさ、情報提供の充実度でユーザーに喜ばれていることが分かりました。

デザイナーとして意識したこと

今回のリニューアルで注目した2つのモジュールに共通するテーマとして、デザイナーとして特に意識したのは、既存のガイドラインに縛られず、観光特有の「わくわく感」を表現することです。しかし、検索の世界観から逸脱しすぎるUIにすると、検索全体としての統一感がなくなり、UXが損なわれる可能性がありました。このバランスを適切に取ることが最も難しい点でした。

幸い、テスト時の定性評価からも分かるように、「わくわく感」を維持しつつ違和感のないデザインを実現することができ、リリースまでたどり着くことができました。

最後に

今回のアップデートに際して、事前のコンセプトテストやウォークスルーを行い、ユーザーにとって魅力的な施策が多く見つかりました。しかし、今回のリリースはそのほんの一部に過ぎません。私たちは引き続き、旅行や観光特有の「わくわく感」を追求し、ユーザーのニーズに応えるべく改善を重ねていきます。

これからもユーザーの皆さまが快適で楽しい旅行計画を立てられるよう、さまざまな機能やサービスの充実を図ってまいります。新しいアップデートや機能の実装にご期待いただき、引き続きお楽しみいただければ幸いです。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

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